写真に込められたメッセージ
英語英米文学科4年 髙木美佳
10月14日(水)、カンボジアを中心に東南アジアの社会問題を取材されているフォトジャーナリストの高橋智史さんをお招きし公開講座が開催されました。高橋さんが15年間カンボジアで生活しているときに、出会った人、感じたこと、訴えたいことなどを沢山の写真と共に貴重なお話をしてくださいました。
今日、それぞれの「思い出」として写真がSNSにアップすることが流行し、写真は私たちの生活に写真は欠かせないものでしょう。このように私たちの身近にある写真ですが、私は講座の中で高橋さんが写真について発した一言が大変印象に残りました。それは、「写真は人々に関心を与え、その関心を持った人たちが繋がり人と人との輪をつなげる」、「写真は気づきを与える」というものでした。フォトジャーナリストである高橋さんは写真にいろいろな思いを込め、何かメッセージを伝えるために撮っているのだと感じました。
高橋さんの作品中、特に印象深かった写真、「お化粧をする女の子たち」では、輝くような笑顔で子供たちが化粧を楽しんでいる様子が伝わります。化粧は私たち、特に女性の日常生活の一場面でもあり、「楽しそうだなあ」と思うかもしれません。しかし、話を聞くと私たちの日常とは全く異なるものでした。実は、この子どもたちが手にしている化粧道具はとても高く積まれたゴミ山で拾ったものなのです。捨てられた化粧品にさえ喜びを感じるという事実を知ったとき、私たちは、この写真を目にして、「楽しそう。いいなあ。」とは思えないはずです。
この講義を聴講した緒方将さんにも、印象に残った写真をたずねてみました。彼が選んだのは、一人の女性が政府に連れていかれそうになっている写真です。この女性は車の中へ引っ張られながらも、自国のため、自分の幼い子どものために声を上げ続けていたのです。緒方さんは、「自分も写真撮ったりするけど、この1枚は人が何か訴えかけようとしている瞬間を捉えていて印象に残っている」、「写真1枚で、人が何かを伝えようとしているのが分かる1枚だった」と話してくれました。
フォトジャーナリストである高橋さんはカンボジアで起こっている、このような事実を写真で世界中に発信しているのです。私たちが日本で不自由なく生活できていることはありがたいことなのだと、しみじみと感じました。日本各所でも貧しい国への募金活動等は行われています。しかし、それだけが今私たちが支援できることなのでしょうか。私は、フォトジャーナリストが発信する現地の情報に触れ、その状況や異文化の違いを含め、その背後にあることを理解しようと努めることも、私たちが今すぐにできることの一つなのではないかと感じました。そして、高橋さんのことばどおり、それらの写真から気づきが生まれ、人と人との輪が広がる機会になると考えます。
以上、ほんの一部ですが、公開講座で特に印象に残ったことを、このブログを通して皆さんと共有します。高橋さんは講座の中で、「違う文化を受け入れることは必ず必要になる」と仰っていました。私は昨年、語学留学に行き、海外で生活をする中、異文化に触れることができ、この「異文化を受け入る」という言葉に大変共感しました。この報告記が、より多くの人に少しでも異文化について、またカンボジアについて関心を抱くきっかけになれば嬉しいです。皆さんも自分の関心があるものなどについて、いろいろな人にどんどんシェアをして、人と人との輪を広げていってもらえたらな、と思います!
心に残った高橋さんのことば~受講生のノートから
- カンボジア/クメール語は、会話を繰り返して学んできた。今も勉強中。わからないことはまだある。言語を知っていると、人々の思いや考えていることを理解することができる。
- その土地の言語を知っているということは非常に大切であり、話せるようになって、その人たちの感情に入り込めた。言葉は架け橋だった。
- 異文化を知る、気づく、を繰り返してカンボジアの人々を理解していった。
- 異文化の理解とは、異文化を受け入れること。最初は受け入れないと思うものでも、文化を知り、受け入れることが異文化理解。
- 言葉を話すことができれば、自分の可能性を広げ、人とのつながりを持つことができる。
- 先入観を持って知ったことが一番一番怖い。先入観を持って、「知った」と思ってしまうことは危険だ。
- 異文化は知らないからこそ簡単に答えられ、知れば知るほど答えは多くなり回答は難しくなる。
- 物事を知れば知るほど多くの問いや答えが生まれる。
- 知れば知るほど、深い思考の中で本当の答えを導き出せる。→本当の「知る」ということ。
- 人とのコミュニケーションがあってこそ写真が撮れる。
- 写真は人に気付きを与える。
- 写真は人と人をつなぎ、変えていく力がある。
- もしも大切な家族が政府から弾圧を受けたら?今目の前で自分の父母や兄弟がいなくなったら?
- 自由を押さえつけられた生活は苦しい。
- カンボジアで人々は、自由な意思で生きるために戦っている。そして未来の子供たちのために、今、大人たちは戦っている。
- カンボジアの人々は、今の自分の生き方、一瞬一瞬を大切にしている。この一瞬をどう生きるか。
- カンボジア取材で平和の尊さ、戦争の悲劇を目の当たりにしてきた。喜び哀しみ苦しみいろいろな事を味わった。
- 彼らのことをいつまでも広め続ける。
- いつか彼らに平和が訪れる事、そしてそれをシャッターにおさめることを願っている。
- 信じることを貫き通して生きることの大切さ。
- 勉強は自分の可能性を広げてくれるものだ。
- 是非、自分の人生に挑戦し可能性を広げてほしい。