Prof. Burton's Visit to Tsurumi University
オーストラリアのニューイングランド大学講師で日本語と日本文化がご専門のテレーズ・バートン(Therese Burton)先生が文学部国際交流委員会の招きで2014年12月に来日されました。公開授業「オーストラリアのアニメファン」(12月18日)の他、英語英米文学科の授業にゲストで参加されるなど、約1週間滞在されました。その様子をお伝えします。
バートン先生の鶴見大学滞在は12月13日(土)、総持寺での英語坐禅からスタートしました。坐禅は今の大学生より長く日本語と日本文化に接しておられるバートン先生にとっても、まったく新しい経験だったそうです。なお、この日は鶴見大学文学部に留学している韓国外国語大学校の留学生3名と大学院歯学研究科に留学している中国人留学生1名も共に坐禅に臨みました。当日はかなり冷え込みましたが、衆庵にはストーブが入り、あらかじめ防寒対策をして臨んだこともあって、夏のオーストラリアから来日されたばかりのバートン先生も大きく体調を崩すことなく初めての坐禅を経験されました。
英語坐禅の後は2015年4月から英語英米文学科で学ぶ新入生の入学前準備学習「英語の多読入門講座」を参観されました。「英語の多読」とは、比較的簡単な英語で書かれた本を数多く継続して読むことで英語のスキルを伸ばすという学習法です。バートン先生は日本語の先生ですが、常日頃から日本語の初学者向けに簡単な日本語で書かれた教材があればよいと考えておられたそうで、大変参考になる授業だったとの感想をいただきました。
12月16日(火)は午前中に2つの授業(1時限目:文学部・英語I、2時限目:英語英米文学科・卒業研究)を参観された後、総持寺で鈴木周太郎先生と精進料理の昼食を楽しまれました。食事にあたり、禅宗における食事の考え方や作法などの講義を受け、新たな日本文化の一面に触れたと大変喜んでくださいました。 |
この日5時限目には、松山明子先生の「英語コミュニケーション概論」の授業で、ご自身の日本語学習について英語で授業をされました。その中で外国語学習の「コツ」をいくつか紹介してくださいました。例えば、「自分より少し上手な学習者を真似よう」、「間違えるなら(くだけた方ではなく)丁寧な方で間違えよう」といったコツです。すぐに取り入れられる実際的なアドバイスに多くの学生が頷いていました。その後、午後6時からは記念館食堂奥の特別室にて歓迎会を行いました。
続く3時限目には図書館の視聴覚ホールにて「オーストラリアのアニメファン」と題した公開授業がありました(文学部比較文化研究所、英語英文学会共催)。オーストラリアでは、アニメに対する考え方も、アニメの放送・視聴方法も日本とはかなり大きな違いがあるそうです。バートン先生はそうした違いを単に説明するだけではなく、実際にオーストラリアの大学生がアニメについて語る様子を動画に撮影して紹介するなど、英語のリスニングにも配慮された授業をしてくださいました。オーストラリアの大学生の英語はかなり手ごたえのある英語でしたが、何とか聞き取ろうと集中する学生の姿が印象的でした。講義に関する質問もたくさん出されました。
今回の滞在中、バートン先生は公開授業や歓迎会などを通じて、英語日本語を問わずコミュニケーションのかなめは話の中身であることを強調されていたように思います。単に英語が上手に話せるだけではなく、英語で「何を」話すかが重要で、そういった意味で日本の文化や自分に身近な題材がとても役に立つということです。国際交流へのカギは、まずは日本での日常を丁寧に過ごすことであると気づかされたバートン先生の滞在でした。(文学部英語英米文学科 菅野素子)