本年度2回目の鶴見大学文学部主催 異文化理解・異文化交流オンライン公開講座が、以下の日程で開催されました。
演題:「日本におけるロヒンギャ難民の現状と課題」
講師:カディザ・べゴム氏(人間の安全保障フォーラム 事務局員)
日時:2021年12月22日(水)1時限~ オンライン配信
本講演ではカディザ・べゴムさんに、難民として来日した日から、日本政府が難民に提供している6ヶ月間の定住プログラムでの生活、さらに奨学金を得て日本語学校、大学、大学院への進学の夢を実現させた、今日に至るまでの経験談をお話し頂きました。べゴムさんは大学在学中から出産と育児をしながら勉学を続け、卒業後は民間企業でのインターンシップを経験し、その企業で就労されました。育児、学業、仕事と大変多忙な生活の中、同胞の方々への生活支援、日本語教育・学習支援活動、地域住民との文化交流を精力的に継続して行っています。将来は、大学院で学んだことを活かして日本に住むロヒンギャ難民の生活向上だけでなく、生まれ育ったバングラデシュの難民キャンプの教育支援を実現させたいと熱く語ってくださいました。
本学の学生に加え、以前、本公開講座の講師を担当くださった内藤真知子先生(難民定住プログラムでべゴムさんに最初に日本語を教えた教師のお一人)、五十嵐淳子先生、べゴムさんが当時学んでいた難民定住プログラムの運営者の方々、日本語教師の方々も数多く聴講くださいました。皆様、ご聴講、コメントをありがとうございました。そして、べゴムさん、聴講した皆さん一人ひとりの心に残るご講演をありがとうございました。夢の実現をお祈りいたします。
ここに、五十嵐淳子先生、英語英米文学科1年生 松本史哉さんの感想記を掲載します。ぜひ、お読みください。
「日本におけるロヒンギャ難民の現状と課題」のレクチャーから、どのような現状なのか、どういった課題があるのかということを学びました。課題解決につながる道を探し続けているというカディザさんの熱を帯びたスピーチに心が動かされました。多くの人に様々な問題が伝わっていると思います。カディザさんに教えた内藤真知子先生の「心のうちを表すことば」としての日本語をお使いになっているからこそ、問題点がより浮彫にされて伝達されたのではないかと思います。
コミュニケーションの問題はブロッコリーのようなフラクタル構造と言われています。カディサさんと同じような問題を抱えている多くの人々にとっても「小さいことをひとつひとつ重ねていけば大きなことができる。」というカディザさんの言葉に勇気をもらった人も数多くいるのではないでしょうか。カディサさんの志の高さ、たゆまぬ努力、自信は、人々を魅了するとともに大きなインパクトを与えていくものだと思っています。今後の活動のご成功をお祈りしております。
今回、私はカディザ・べゴムさんによる公開講座を受講し、難民の現状、べゴムさんの日本に来てからの生活や社会活動に関する経験談を聞くことができました。まず、難民の現状ですが、彼らの救いとなる隣国の難民キャンプでは医療や教育が充実していないこと、難民として来日後に大学進学を希望しても経済的に難しいこと、就労体験のインターンシップでも難民を受け入れる企業が少ないことなど、難民に対する支援が行き届いていないことが分かりました。
この講座を受け、私たちは難民についてあまりにも知らなかったことを認識しました。私は国際文化について学んでいますが、昨今、報道されることが多いアメリカでの黒人に対する人種差別に注目しがちで、難民問題に接することがほとんどありませんでした。実際にはミャンマーを含め世界各地で紛争が起きています。今回、べゴムさんの経験談に触れて、英語圏を主とする国際文化研究おいても、世界の動向をまず知ることが重要だと感じました。
黒人への人種差別問題では、人々がその歴史的背景を学ぶことで人権意識を高めてきたという実績があります。難民問題も学校などでしっかりと学ぶことで、その課題が理解され、問題解決に近づくと思われます。難民のことをもっと知ってもらうために、この講座から私たちが学んだことを発信することが難民問題解決の一助となることを願います。